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犬の子宮蓄膿症とは? 避妊手術をしていない雌犬に発生しやすい病気 症状と原因、治療法について実際の症例で解説

今回は犬の子宮蓄膿症(パイオメトラ)について、症状と原因、治療法について説明していきたいと思います。

子宮蓄膿症避妊手術をしていない中高齢の雌に多く見られ、子宮内に膿が溜まってしまう、命に関わることもある緊急性の高い病気です。

※症例写真を掲載しております。

摘出した臓器の写真もありますので苦手な方はご注意下さい。

子宮に膿が溜まっている

【症例】

  • 犬種 キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
  • 年齢 8歳
  • 性別 未避妊メス
  • 症状 下痢・頻尿・食欲低下
  • 病名 子宮蓄膿症
  • 処置 子宮卵巣全摘出(避妊手術)
  •  

■ 子宮蓄膿症とは?

蓄膿とは「膿が溜まる」ことをさします。

人では鼻の奥に膿が溜まっている慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と呼ぶことがありますが、犬では、子宮内に膿が溜まってしまう「子宮蓄膿症」という病気がよく見られます。

子宮内で急激に増殖した細菌は、全身状態を悪化させ重篤な症状を示すこともあり、命にも関わる怖い病気の1つです。

正常の卵巣子宮
今回摘出した卵巣子宮(膿でパンパンに拡張)

■ 子宮蓄膿症の症状

子宮蓄膿症は大きく2つのタイプに分かれます。

①開放性子宮蓄膿症(膿が外に排出されている)

・陰部から膿や血混じりの分泌物が出ている

・陰部を気にして舐める

・熱っぽい

・食欲不振

・多飲多尿

・元気低下

②閉鎖性子宮蓄膿症(膿が体内に溜まる)

・お腹が張っている

・多飲多尿

・嘔吐

・下痢

・元気低下

・ぐったりしている

閉鎖性は膿が外に排泄されないため外見からの判断が難しく、発見が遅れかなり症状が進行するまで気が付かないこともあります。また、自身で気にして舐めてしまうことも多く発見が遅れることも。

・・・!つまり!

症状が分かりにくい閉鎖性の方がより危険なんです。

 

「排膿」だけでなく、いつもより元気がない・いつもよりお水をよく飲みよくおしっこをするなど、普段と違う症状があれば様子見せず、早めに動物病院にご相談ください。

■ 子宮蓄膿症の診断方法

子宮蓄膿症が疑われた場合は、以下の検査を行い診断していきます。

①血液検査

・血球計算

→白血球数の増加があるか(炎症が起きているか)

・CRP(炎症マーカー)の測定

・生化学検査

→腎機能に異常はないか

血液生化学検査器

②画像検査(レントゲン検査・超音波検査)

・子宮に貯留物はないか

・子宮が異常に腫れていないか

などを確認していきます。

■ 子宮蓄膿症の治療法

①外科手術(子宮卵巣摘出)

最も確実な方法は手術による摘出です。

手術で、膿が溜まった子宮・卵巣を完全に取り除きます。

子宮卵巣摘出という処置自体は避妊手術と同様なのですが、健康なときに行う避妊手術と比べると、いくぶん身体への負担がある状況となります。

膨らんだ子宮は破れやすく脆くなっているので、膿や細菌があふれないように注意しながら処置を行います。また、元気や食欲も落ち炎症反応も起きている状態で行う処置となるので、手術後の体調変化にも注意が必要となります。

②内科療法

・子宮内の貯留物がごくわずか

・全身状態良好

・若齢で今後繁殖を希望している

・麻酔リスクが高い

・その他の理由で飼い主様が希望されない

もしくは

・すぐに処置が出来ない

…といった場合には、内科治療(抗生剤治療・ホルモン治療)を行うこともあります。

ただし、内科療法では根本的完治はしないため、

・治癒まで時間がかかる

・再発するかもしれない

・完璧に治癒するとは限らない

というデメリットがあります。

💊子宮蓄膿症の特効薬「アリジン」

このお薬は子宮蓄膿症の引き金をひく、黄体ホルモンの働きを抑制し、子宮頚管を緩め排膿を促す薬剤です。

近年欧米で承認を受け、その後国内でも子宮蓄膿症の治療薬(注射薬)として発売されることとなりました。

今までは子宮蓄膿症=外科療法でしたが、内科療法の選択も増えました。

■ 子宮蓄膿症の予防法

子宮蓄膿症を防ぐ最も有効な方法は、「健康なうちに避妊手術を受けること」です。

避妊手術のメリットとして、

✅子宮蓄膿症を防げる

✅乳腺腫瘍のリスクが下がる(早期実施の場合)

✅望まない妊娠を防げる

✅発情期のストレスが軽減される

などがあげられます。

繁殖を希望しない場合は、避妊手術を検討すると良いでしょう。

■ まとめ

子宮蓄膿症は命に関わる病気です。

とくに避妊をしていない子は、発情期に発症リスクが高まるため注意が必要です。

そして最も大切なのは子宮蓄膿症は予防できる病気ということです。

いつもと様子が違う、膿が出ている、などあればすぐに動物病院にご相談ください。

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