一般診療、皮膚科、避妊・去勢、健康診断、ホテル、お迎え・お届け、ライフプランのご相談

【症例報告】横隔膜ヘルニア

先天性横隔膜ヘルニアの猫ちゃんの症例を報告させていただきます。 

 

【症例】

スコティッシュ・フォールド、8ヶ月齢、未避妊♀

 

【稟告】

オーナーからは特になし。

 

【検査】

避妊手術前の術前検査で胸部レントゲン検査を行ったところ、

横隔膜ラインの消失心陰影の拡大消化管の胸腔内への脱出が認められました。

腹部エコー検査にて、脱出した消化管は肝臓と胆嚢が疑われました。

 

【治療】

東京農工大学をご紹介。

心膜内の肝臓を腹腔側に還納し、横隔膜の欠損孔を閉じる外科的整復術を実施。

 

手術前のレントゲン写真では横隔膜のラインがはっきり確認できず、

胸の中に腹腔内臓器が入り込んでいるのがわかります。

手術後は胸の中に入り込んでいた臓器がすべて元の位置に戻っているのが確認できます。

心陰影も通常サイズです。

 

【経過】

術後、経過良好。

 

 

横隔膜ヘルニアってどんな病気?】

横隔膜は胸腔と腹腔を区切る膜状の筋肉を指します。

横隔膜ヘルニアは、この横隔膜に何らかの原因によって穴が開く、あるいは正常に形成されないことによって胸腔と腹腔が連絡してしまう病気です。

 

横隔膜ヘルニアは先天性後天性(外傷性)の2タイプがあります。

先天性横隔膜ヘルニアは横隔膜の一部の発育不全や癒合不全などから生じます。

外傷性横隔膜ヘルアは交通事故や落下などによって横隔膜が破裂し生じます。

先天性の場合、はっきりとした臨床症状もないまま長期間経過していることも少なくありません。

当院で判明した猫ちゃんも避妊手術の術前検査で偶然見つかりました

 

症状はヘルニアのタイプや脱出している臓器によって様々ですが、

呼吸の異常、疲れやすい、一度にたくさん食べることができない、成長不良などが見られることが多いです。突然死のリスクもあるので要注意です。

 

治療は基本的には外科手術になり、それ以外で完治を目指すのは難しいでしょう。

 

・同腹の兄弟に比べると成長が遅い、食べる量が少ない

・外から帰ってきてから呼吸がおかしい

・高いところから落下してから呼吸がおかしい

 

などの症状が見られたら、すぐにご相談ください。

この投稿を共有する

Share on facebook
Share on twitter
Share on email