■ 皮膚科・耳科の3つの特徴
①よく聞く
皮膚科は“話す科”とも言われます。ご家族からのお話は、皮膚トラブルを診断するうえで1番重要です。誠心誠意ご家族の声に耳を傾け、納得いく診断や治療を目指します。
②丁寧にわかりやすく
皮膚病の原因は一つのみならず、多くの原因によることも少なくありません。丁寧にわかりやすくご説明することを心がけています。
③寄り添った治療
皮膚病には、残念ながら完治が難しい病気も存在します。
飼い主様、動物に寄り添った治療目標を決め、続けられる治療方法をご提案します。
当院では皮膚科・耳科に力を入れており、院長は現在も、東京農工大学の皮膚科で研鑽を積んでおります。
皮膚科診療の際には、時間がゆっくり確保できる予約診療がお勧めです。
■ 皮膚科診療の注意事項
・セカンドオピニオンを希望される場合は、現在の治療法やお薬の内容、検査に関するデータをお持ち下さい。
・ライフスタイル(飼育環境、散歩コースなど)、食事内容、自宅で行っているスキンケア(シャンプー、保湿剤、耳のケア、使用製材や頻度)、今までの経過(初発、季節性、治療歴など)、予防歴(ワクチンや寄生虫予防)などを調べておくと、スムーズな診察が可能です。
・あらかじめ問診票をダウンロードしてプリントし、ご自宅で記入して持参していただけるとスムーズに受付を行うことが可能です。ご利用ください。
■ 皮膚病の原因
皮膚病は原因が1つではなく、複数の原因が複雑に関わりあって引き起こされることも多いです。症状が同じように見えても、ダニやノミ、細菌・真菌の感染症、アレルギー、ホルモン異常など原因は様々です。皮膚病を診断する際はただ一つの要因でなく、他の要因が関与している場合を常に考慮し、多面的に考えていくことが重要です。
■ 皮膚病の検査
皮膚トラブルの判定のためには、ご家族からの聞き取り(問診)、皮膚症状の評価が重要とされています。その後、疑われる皮膚病のリストを挙げて必要に応じた皮膚科検査を実施します。
検査は闇雲に行うのではなく、各種皮膚トラブルに応じた検査を実施します。
🐾 皮膚の一般的な検査
押捺・塗抹検査
皮膚表面でブドウ球菌やマラセチアなどの真菌の増殖がないか調べます。
皮膚掻把(そうは)検査
ノミよりも小型な寄生虫を検出する検査です。 主に疥癬(ヒゼンダニ)やニキビダニの検出に用います。
抜毛検査
ピンセットや毛抜きを使って、毛を採取し、顕微鏡で観察する検査です。 主に脱毛症などで用います。 毛の構造と毛周期などを調べることができます。
ウッド灯検査
紫外線を発するウッド灯というランプを用いて、皮膚糸状菌という真菌(カビ)を検出する検査です。 カビに感染した毛には青色に光ることがあります。光っている毛を見つけたら、採取・顕微鏡で観察しカビの存在を確認します。
🐾 皮膚の詳しい検査
アレルギー検査
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが疑われる際に用いられます。血液を採取する検査で主に外注検査機関に依頼します。 この検査だけで確定診断はできませんが、どのような物質にアレルギー反応を起こす可能性があるのか推測するのに有用です。
血液検査・ホルモン検査
皮膚病の原因が、内科疾患である場合があります。 甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、性ホルモン失調などの内分泌障害が高年齢では多く見られます。
培養検査
菌の種類を同定し、薬剤感受性試験によりどの薬剤が効果的であるかを調べる検査です。 結果が出るのに少し時間のかかる検査ですが、効くか効かないかわからない薬を投薬してしまう可能性が減るというメリットがあります。
皮膚生検
免疫疾患や特殊な脱毛症、腫瘍など一般的な皮膚検査で診断が困難な疾患に対して適応されます。 皮膚の一部を切り取って、細かい細胞レベルまで確認する手法です。専門の外注検査機関に依頼します。
■ 皮膚病の治療
ステロイド、免疫抑制剤、分子標的薬、インターフェロン、抗真菌薬、抗生物質、駆虫薬、減感作療法、食事療法など、皮膚病の治療は多岐にわたります。それぞれの薬物の適応となる疾患、薬の特徴(作用や副作用)をふまえ治療を行います。
また、治療にはご家族全員の協力が必要不可欠となります。
🐾 感染症の治療
駆虫薬や抗生物質、抗真菌薬などを使い治療します。
感染症を起こした背景にもアプローチをし、再発を防ぎます。
🐾 アトピー性皮膚炎などの慢性疾患の治療
アトピー性皮膚炎などのアレルギーの病気は基本的に完治は難しく、生涯付き合っていく必要があります。長く付き合って行くためには生活環境、動物の性格を考慮して、その子にあった治療法を一緒に選んでいく必要があります。
■ 耳科
耳のトラブルでよくみられるのが“外耳炎”です。外耳炎の多くはアレルギー性疾患や脂漏症などの皮膚疾患に併発します。皮膚と耳は切り離せない関係です。
耳用内視鏡(オトスコープ)は外耳道の奥を見る事ができ、耳道の状態・鼓膜などを確認することがができます。
パソコンのモニターに映し出して、飼い主様にお見せしながら説明することが可能です。
■ スキンケア
近年、ヒトと同様に動物医療業界でも“スキンケア”がとても注目されています。
スキンケアだけで皮膚の症状が劇的に改善することもあり、とても効果的な方法です。
シャンプーや保湿などの外からのスキンケアだけでなく、栄養や環境管理などの内からのスキンケアなど、複数のスキンケアを組み合わせて日常的に実施することが重要です。
■ 薬浴・メディカルトリミング
当院では皮膚病の治療のために“薬浴・メディカルシャンプー”を行うことが可能です。
皮膚の状態に合わせ治療の一環として、マイクロバブルや炭酸泉、薬用シャンプー、保湿剤、外用薬などを使用します。