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フレンチ・ブルドッグで多い皮膚疾患

こんにちは。院長の石村拓也です👨‍⚕️

さて、今回は…✨

ぺちゃっとつぶれた鼻と笑っているかのような大きな口、ビー玉みたいな大きい瞳にコウモリの羽のかたちをした大きなお耳。キュートで個性的なルックス❤

そう!“フレンチ・ブルドッグ”です🐶❤犬種ランキングのTOP10にも仲間入りする人気犬種ですね。

人と過ごすことが大好きで、頭もよく、一芸を覚えることも上手です。小さな体でもパワフル、お散歩も、おもちゃ遊びもいつも全力!

今回はこの魅力的な“フレンチ・ブルドッグで多く見られる皮膚疾患”についてお話させていただきますす🤓

🐶 過去ブログ『犬種による皮膚疾患』はこちら

フレンチ・ブルドッグ

フレンチ・ブルドッグの起源については諸説ありますが、19世紀半ばにイギリスからフランスに持ちこまれたブルドッグが原種とされています。その後、テリアやパグとの交配により小型で温和なフレンチ・ブルドッグが誕生しました。

性格は活発で利口で無駄吠えも少なく飼いやすい犬種です。

筋肉質でがっしりとした体型をしています。

特徴① 狭い水平耳道

犬の外耳道は真っ直ぐな道ではなく、L字型の構造を取っています。

フレンチ・ブルドッグの外耳道は他の犬種に比べてこのL字が特に鋭角で、水平耳道が狭くなっています

これらは外耳炎の素因になりやすいとされています。

特徴② 深いヒダ

フレンチ・ブルドッグの顔としっぽの付け根には深いヒダがあります。これらのヒダには皮脂が溜まりやすいです。マラセチアや細菌などの増殖を伴うことも多いため、日常からのスキンケアが大切な部分です。

特徴③ 硬い被毛

フレンチ・ブルドッグの毛は、一次毛と二次毛からなるダブルコートです。一次毛は硬く丈夫な毛、二次毛は一次毛よりも柔らかい毛で頻繁に抜け替わります。

硬い一次毛は毛包にダメージを与えやすく、深在性膿皮症の悪化因子となりえます。

フレンチ・ブルドッグで多い皮膚疾患

フレンチ・ブルドッグで気を付けたい病気はけっこう多いです😱💦

今回は、特に多く見られる皮膚疾患をご紹介します。

① 犬アトピー性皮膚炎  →詳しくは「柴犬で多い皮膚疾患」をチェックしてね😉

② 食物アレルギー

③    膿皮症

① アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は痒みを特徴とした病気です。

ハウスダストマイトや花粉などの環境アレルゲン(抗原)に対する過剰な免疫反応によっておこります。

遺伝が関与し、柴犬やフレンチ・ブルドッグ、シーズー、ウェストハイランドホワイトテリアなどの犬種で多くみられます。

目や口の周囲、耳、足先、脇の下、腹部などで皮膚炎が見られることが多いです。

アトピー性皮膚炎のフレンチ・ブルドッグの傾向として、他の犬種よりも、

・食物アレルギーの併発が多い

・早期に発症することが多い(1歳齢未満)

と言われています。

👇詳しくはこちらを見てね😉

> 「柴犬で多い皮膚疾患」 ~アトピー性皮膚炎

② 食物アレルギー

■ 食物アレルギーとアトピー性皮膚炎

“食物アレルギー”、これは文字通り

食物が原因のアレルギー性皮膚炎です

アレルギー反応を起こさない食物を探し出せれば、 皮膚症状を抑えることが可能です。

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の症状は似ているため、これらを症状だけから区別するのは難しいです。

また、アトピーの患者さんの約半分は

食物アレルギーも併発

しているのではないかという報告もあります。

 

アトピー性皮膚炎は環境アレルゲン(花粉やダニ、カビなど)に対するアレルギーなので、これらアレルゲンへの曝露が増える季節に症状の悪化が見られることが多いです。それに対して食物アレルギーは年間を通じて症状がある場合が多いとされています。

また、食物アレルギーでは、お腹がゆるかったり排便回数の変化など消化器の症状が伴うこともあります。

外耳炎を併発することも多い

① 症状からはアトピー性皮膚炎と区別することが難しい

② 何らかの消化器症状(下痢、1日3回以上の排便)がある場合が多い

③ 1年を通して症状があることが多い

■ 食物アレルギーの診断

除去食試験によって診断!

食物アレルギーの診断“効果的な制限食による管理によってのみ”診断ができます。

STEP1

食物アレルギーと症状が似ている疾患を除外

(寄生虫、膿皮症、マラセチア性皮膚炎など)

STEP2

除去食試験

“アレルギー反応を起こす可能性の低いフード(制限食)を最低8週間与えることで症状が改善するか?”を確認

STEP3

食物負荷試験

“以前のフードに戻す、または1種類のたんぱく質を制限食に加えて食べさせることで、痒み等の症状が再燃するかを確認

1種類ずつ試すと、食べてはいけない蛋白質がわかります。

“食物アレルギーと診断!

まずは、症状が食物アレルギーと似ている疾患(ノミの寄生、膿皮症、マラセチア性皮膚炎など)を除外します。

次のステップとして除去食試験を行います。

これはアレルギー反応を起こしにくい制限食だけを食べることによって症状が治まるかどうか確認する検査です。

実はその制限食が本当に症状を抑えることができたのかどうかと判定できるまで、実に2ヶ月ほどかかります

制限食と水、それ以外は一切口に入れない生活を2ヶ月続け、それよって症状が治まることを確認します。その後、元のフードに戻すと症状が再発するのを確認することで、はじめて食物アレルギーと診断できます

“厳格な除去食試験”を行えるかがミソになります👨‍⚕️

除去食試験はご家族や散歩仲間を含めた、関係するすべての人に協力してもらう必要があるんです

トリーツ(オヤツ)、ガム、サプリメントを含めて副食は禁止です。

家族の中で要注意人物、いませんか…?🧓👶

子供の食べ残し、人間の夕飯を少しだけおすそ分けしちゃうおじいちゃん…😢

“ほんの少しだから大丈夫よね…?”

…ダメですよ!!🚫🙅‍♂️

一生懸命除去食を続けていても、ほんの少しでもアレルゲンの入ったものを摂取してしまうと、今までの努力が水の泡…

残念ながら中途半端な検査ではやる意味がはっきり言ってあいません。除去食試験は、ご家族全員のご理解と根気が必要な検査なんです。

しかしもし食物アレルギーと診断できた場合のメリットは大きいです!

アレルギー反応を起こさない食物を探し出し、それを食べなければ、 皮膚症状を抑えることが可能です。今まで薬物療法(痒み止めなど)に頼っていた場合、薬の減量もしくは休薬が期待できます。

その子に合った食事が見つかれば、薬を飲まなくても慢性的な痒みから解放されるのです!!

■ 除去食試験に使われる3種類のフード

① 加水分解食

タンパク質を分子レベルまで小さくしたフード

タンパク質を分子レベルで細かくしてあるフードです。タンパク質の粒が大きいとアレルギー反応は起こりやすくなります。

口に入る前にすでにタンパク質を分解しておき、アレルギー反応を起こしにくくしています

② 新奇タンパク食

普段食べていないであろうと思われるものを原料につくられたフード

アレルギーの病態を考えると、過去に摂取したことのない食物に関してはアレルギー反応が起こらないはずです。

過去に摂取したことがない食物を与えることを目的に、一般的に用いられてない動物性タンパク質(新奇タンパク質)によって作られたフードです。

③ ホームメイド食

飼い主による手作りごはん

純粋な動物性タンパク質のみを与えることができるため、原因となるタンパク質をうまく避けることが出来れば、最も理想的な試験結果が得られる可能性があります。

しかし栄養バランスを考えると、長期的給与には不向きです。また、調理する手間が大変というデメリットも。

 

あくまで短期的な試験として適用し、長期給与する際はビタミン、脂質など、必要な栄養のバランスを考える必要があります。

■ アレルギー検査

アレルギー検査💉を実施することもありますが、これはあくまで補助的な診断確定診断できるものではありません。

これら結果をもとに制限食の選択を行うこともあります。

■ まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、フレンチ・ブルドッグがなりやすい皮膚病に関してお話させていただきました🐶

ちょっと長くなりそうでしたので、フレンチ・ブルドッグで多く見られる『③ 膿皮症』に関してはまた次回お話しさせていただきます🙇‍♂️

 

フレンチ・ブルドッグは本当に皮膚のトラブルが多い犬種です。

皮膚病でお悩みの方はぜひ当院にご相談ください。👨‍⚕️

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