【症例】
ボンベイ 1歳 避妊♀
【稟告】
食欲低下、嘔吐、麻ひもを食べたかもしれない。
【検査】
身体検査にて肛門からひもが出ているのが確認されました。
レントゲン検査、超音波検査にて空腸領域における腸のちぢれ、腸管内にガスの貯留、内容物のうっ滞が認められました。
【治療】
ひも状異物による腸閉塞を疑い、緊急手術を行いました。
腸管は赤く腫れ、アコーディオン状にちぢれていました。ひもを軸に腸が縮もうとするためこのような形態になります。時間が経つと腸が裂けてしまうこともありますが、幸いなことに腸穿孔は見られませんでした。
※手術画像が出ます。苦手な方はご注意下さい。
1ヶ所だけ切開して無理に引っ張ろうとすると抵抗が強く腸が裂けてしまうことがあるので注意が必要です。この猫ちゃんは、結局空腸を2ヶ所、回腸を1ヶ所切開し、ひもを取り出しました。
【経過】
術後も順調に回復し、無事退院できました!
ひも状異物は腸管の蠕動運動に伴って腸管がたぐり寄せられるため、いわゆるアコーディオン状の形態をなします。これは他の異物による閉塞より厄介で、腸管が食い込んで穿孔による腹膜炎を起こしたり、血行不良により腸管壊死を起こしたり危険な状態になる場合があります。
また、口や肛門からひもが飛び出ている場合、無理に引っ張らないようにしましょう。ひもにより腸が裂けてしまうこともあります。
ひも状異物は若齢の猫で多く見られ、ひもや糸だけではなくひも状のおもちゃ、衣服、絨毯などでも危険性があります。
猫の誤食は犬に比べると少ないですが、一度誤食した猫ちゃんは繰り返すことも多いです。おもちゃや生活環境の見直しなど、対策をしっかり練って再発予防に努めましょう。
【症例報告】ひも状異物 was last modified: 1月 29th, 2019 by iwasa