なんか毛が薄いような…
あれ?脱毛してる!
そんな症状はありませんか?
今回は犬猫の「皮膚糸状菌症」についてお話しいたします。
■ 「皮膚糸状菌症」とは
皮膚糸状菌症とは皮膚や被毛に感染するカビ(真菌)によって引き起こされる皮膚疾患のことです。
糸状菌は土壌や植物や動物の皮膚などに生息しています。
カビと聞くと嫌なネガティブイメージですが、動物や人間の皮膚にも元々カビはいます。
私たちが「カビ」と読んでいるのは「真菌」のことで、
・糸状菌(青カビや水虫)
・酵母菌(ビール酵母、イースト菌)
・きのこ類
をまとめて「真菌」とよんでいます。
この糸状菌の一種である皮膚糸状菌が皮膚に感染してしまうことで起きてしまいます。
しっかり治療すれば治る病気ですが、治療を途中でやめると再発しやすいのが特徴となります。
珍しい皮膚疾患ではありませんが、非常に感染力が強く私たち人間にも感染してしまうことがあるので注意が必要になります⚠️
■ まずは対策を!感染してしまう原因は?
先ほどのお話の通り、皮膚糸状菌は伝染性なので直接菌に触れることで感染します🦠
・糸状菌に感染した動物との接触
・糸状菌に感染した動物の毛やフケとの接触
・土遊びが大好き(土壌の糸状菌の感染)
によって感染が成立します。
免疫が未発達な子犬子猫、基礎疾患がある高齢な子、多頭飼育環境にある子はかかりやすいのでより注意しましょう🚨
また、うさぎやハムスターも糸状菌をもっている可能性があるので、触れる機会があったり同居している場合はこちらも注意しましょう🐰🐹
毛にカビがついていても症状が出ない子(無症状キャリアー)や、ただ付着しているだけ(腐生)の場合もあります。見た目に症状がなくても注意が必要というのが重要なポイントとなります。
■ 特徴的な症状は?
・500円玉ほどの円毛、不整形の脱毛がみられる
・お肌がかさついている
・フケが目立つ
・滲出液がでる
・強い痒みはない
というのが特徴です。
▼代表的な症状
一方、人にでる症状は…?
触れ合う腕や足、首元などに赤くて丸い発疹(リングワーム)ができたり痒みを伴うのが特徴です。
■ 診断方法は?
まずはわんちゃんねこちゃんのお肌の状況(症状・年齢・患部etc)をしっかり伝えることが大切となります。
そして皮疹とあわせて糸状菌の可能性が高い場合は、しっかりと対策を行い検査を進めていきます👨⚕️
①ウッド灯検査
皮膚糸状菌に感染している疑いがあるかを確認する検査です。
暗室で特定の波長の光を当てると、糸状菌に感染している被毛が発色します。
②被毛・皮膚検査
糸状菌に感染した被毛や角質を証明するための検査です。
感染部の一部の毛を抜いたり、フケを取ったり、それを顕微鏡で確認します。
顕微鏡で糸状菌の胞子や菌糸が見つかれば、皮膚糸状菌症として診断を進めます 。
③真菌培養検査
感染部の被毛を特殊な培地で培養し、2〜4週間ほどで結果判定を行う検査です。
糸状菌の原因菌を同定し、感染源を推測・遮断したり、診断を確定的なものにできるメリットがあります。
また、治療終了の判定や、同居動物の無症候キャリアの検出にも使用します。
■ ここがポイント!治療の5つの柱
①隔離
感染した子のお部屋を分けて、「カビ」が家中に広がるのを防ぎましょう。
✅感染している子は、できるだけ個室で過ごしてもらいましょう。
✅同居の動物がいる場合は、感染していないか検査をしましょう。
②環境清掃
『掃除機 → 洗剤での洗浄 → 消毒』の「トリプル洗浄!」で環境のカビを減らしましょう。
✅トリプル洗浄
👉1:掃除機などで毛を除去 → 2:洗剤でしっかり洗う → 3:消毒 の3ステップ。
消毒より「物理的な除去」が最も重要 です。
頻度:3ステップは週に1~2回
※掃除機は可能であれば毎日行いましょう。
消毒液:次亜塩素酸:10倍 or 100倍希釈
ベッドやタオル類:洗濯機で2回ほど洗濯。可能であれば100倍希釈の次亜塩素酸に30分ほど浸けるとより安心。

💡 環境中のカビが人や動物にうつる頻度は、実はそれほど高くないと言われています。過度に心配しすぎず、無理のない範囲で続けましょう。
③評価
定期的な通院で治り具合を確認しましょう。
✅1〜2週間 / 1ヶ月ごとなど、診察で病変の有無・ウッド灯検査・真菌培養検査を確認します。
✅真菌検査が2回連続で陰性になることが、治療終了の基準です。
見た目だけで判断しないようにしましょう。
④外用療法
抗真菌シャンプーやローションを使用します。
飲み薬が届きにくい毛先に直接アプローチします。
✅抗真菌シャンプーで定期的に洗浄しましょう。
✅外用薬(ローション・カラー剤等)を塗布。
場合によっては、薬剤を舐めないようにエリザベスカラーを着用しましょう。
✅毛玉・長毛・広範囲・難治性の場合は、剃毛(全身/部分)をご相談する場合があります。
⑤全身療法
飲み薬で体の中からカビをやっつけます。
治療期間短縮のために重要です。
✅処方された飲み薬を、指示された投与法・期間で続けしょう。
✅副作用確認のため、2週間〜1ヶ月ごとの血液検査をする場合があります。
✅自己判断で量を減らしたり中止したりしないようにしましょう。
■ 感染しないための予防を!
皮膚糸状菌は毛や皮膚の上にあるケラチンというタンパク質をエサにしています。
この菌は適度な湿気と暖かい環境で増殖するため、梅雨時期~残暑にかけ、感染が増えてしまう傾向にあります。
先ほどお話した通り、糸状菌は感染力が強く「動物⇔動物」「動物→人間」へも感染します。
使用していないケージやキャリー・タオル類・寝具は、しっかり洗浄してから収納するように心がけましょう。
また、洗濯できるものはしっかり洗浄し、特にカーペットやソファはこまめに掃除機をかけ、感染した動物や人との接触は避けましょう。
皮膚病にも沢山の種類があり、環境や身体の免疫、皮膚の状態によっては、放っておくと感染が速く広がったり、症状が悪化してしまいます。
身体を痒がる、毛の脱毛、皮膚の赤み、皮膚のカサつき、など気になることがあれば一度病院へご来院下さい🏥
初診の方へ
お問い合わせ
LINE