今回は数ヶ月前から頻回のくしゃみ、鼻水などの症状が見られた12歳の猫ちゃんについてご紹介したいと思います。
重度の歯周病と犬歯の破折(=折れたり割れたりして歯が損傷した状態)、さらに「吸収病巣」も多数認められました。
「吸収病巣」と言われてもしっくりこない方も多いと思いますが、猫ちゃんでは割と多く見られる歯科疾患の一つです。今回はこちらについても詳しく説明していきますね🐈
【症例】
・猫種 雑種
・年齢 12歳
・性別 去勢雄
・症状 くしゃみ、鼻水
・病名 重度歯周病、両上顎犬歯の破折・露髄、吸収病巣
・処置 歯石除去、抜歯
・Before
数ヶ月前から頻回のくしゃみ、鼻水などの症状が見られました。
両側の上の犬歯は破折が見られ、歯髄(歯の中の神経や血管)が露出していました。このまま放置しておくと歯の中に細菌が入り込み、歯髄炎や歯髄壊死を引き起こします。
歯石も付着しており、歯肉の赤みと退縮、歯の動揺を認め重度歯周病と判断しました。
全身麻酔を行ったところ、左上顎第3切歯、右下顎第1、2前臼歯、左下顎第1前臼歯に歯根の吸収病巣が確認されました。
・After
専門器具を使い、歯の表面や歯周ポケットの歯石を取り除く「スケーリング」を行いました。
さらにその後「ポリッシング」を行いました。これは、研磨剤を用いて歯の表面を平らに整え歯石がつきやすくなるのを防ぐために行います。
破折部位と歯根の吸収病巣部位は抜歯を行い、歯肉縫合を行いました。
縫合の糸は、髪の毛よりも細い糸を使用しております。
また縫合糸は1ヶ月ほどで溶ける糸を使用するため、基本的には抜糸の必要がありません。
■ 吸収病巣とは?
吸収病巣とは、歯の硬い組織(エナメル質や象牙質)が徐々に破壊され、吸収されていく病気です。これにより、歯の構造が脆くなり、最終的には歯が折れたり抜けたりすることがあります。
吸収病巣の正確な原因はまだ明らかではありませんが、慢性炎症や口腔内細菌の関与、遺伝的要因や免疫異常などなど、複数の要因が関係している可能性が示唆されています。
・どんな症状が出るの?
・口の違和感、痛みによる食欲不振、涎の増加
→食欲不振が続くと体重減少
・口腔内の感染や炎症による口臭
・歯の変色や欠損
・歯肉の腫れや出血
・診断
吸収病巣の診断は、口腔内の検査と歯科レントゲン検査によって行います。
歯冠や歯根が虫食い状に溶けています。
診断には歯科レントゲン検査が必須です。肉眼だけでは進行度を正確に把握できません。
・治療
吸収病巣の治療は、病変の進行具合や猫ちゃんの全体的な健康状態に応じて異なります。
吸収病巣が進行し歯を保存することが難しい状態にある場合は、抜歯を行います。また感染を伴う場合は抗生物質を使用したり、痛みがある場合は鎮痛剤を使用することもあります。
■ まとめ
吸収病巣は猫ちゃんの健康に大きな影響を与える可能性がありますが、早期発見と適切な治療によって、多くの問題を回避することができます。
日常的な口腔ケアと定期的な動物病院でのチェックを行い、愛猫の健康を守りましょう。
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