先日、ウイルスを持ったマダニを介して感染する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」のネコを治療していた三重県の獣医師の男性が、この病気に感染してお亡くなりになったという報道がされました。
呼吸困難などの症状が5月に出始め、緊急搬送。入院して治療を受ける中で、SFTS感染が判明。容態が悪化し、数日後に亡くなったとのこと。
日本獣医師会は三重県獣医師会からの報告を受け事案を把握し、6月12日付で、各都道府県の獣医師会に対し、診療時の留意事項などについて注意喚起する連絡が送られました。
そしてこの痛ましい出来事は“他人ごとではない”のです。
マダニの危険性を少しでもお伝えしたいと思います。

■ SFTSとは
SFTSの致死率 犬:29% 猫:70% ヒト:20%
SFTSはマダニが媒介するウイルス感染症です。
主に吸血によって人や動物に感染します。約6〜14日の潜伏期間のあと、発熱・嘔吐・下痢・血小板減少などが起こり、重症化すれば呼吸不全や意識障害に至ることもあります。
SFTSは、2011年に新しいウイルス感染症として報告され、人において感染者と死亡者が続出しています。
マダニは、主に屋外の草むらや畑、森の中などに生息していて、農作業中や、山の中を歩いている時にかまれることがあるとされています。

■ 獣医師だけではない〜ペットを介した感染リスク
野良猫や外飼いのペットから、マダニ感染するケースは増加傾向です。
SFTSを発症したペットから感染したケース、患者の血液から医師が感染したケースが報告されていて、厚生労働省は動物やヒトの血液や唾液などを介した感染にも注意が必要だとしています。
ヒト同士の感染例も報告されており、「自分は大丈夫」とは言いきれません。
■ 今からできる予防対策
① ヒトにおけるマダニ対策
・山林・草むらに行く場合は長袖・長ズボン・帽子を着用
・虫除けを使用
・帰宅後はシャワーで全身チェック、特に頭部・脇・股を念入りに確認しましょう。
・マダニに咬まれたら自力で取らず、医療機関へ直行。潜伏期間内の発熱・異変時は、刺咬歴を必ず伝えましょう。
② ペットの対策
・完全室内飼育が最も安全
・マダニ駆除薬を定期投与(滴下剤・内服薬など)
・草むら散歩を控え、帰宅後は被毛をチェックして清潔にしましょう。

③ 動物病院での感染対策
・可能なら隔離スペースを用意し、処置後は徹底消毒
・感染疑い例はすみやかに保健所へ報告
■ 伝えたいこと
「かからない」防御策こそ最善の治療です。