皮膚トラブルの判定のためには、ご家族からの聞き取り(問診)や
皮膚症状の評価が重要とされています。
検査は闇雲に行うのではなく、各種皮膚トラブルに応じた検査を実施します。
☆当院でどんな皮膚検査を実施しているのかご紹介していきます☆
① 菌を調べる検査
② 寄生虫を調べる検査
③ 毛の異常を調べる検査
④ アレルギーの原因を予測する検査
⑤ 皮膚生検(皮膚病理検査)
⑥ その他の検査
① 菌を調べる検査
ⅰ 細胞診
ブドウ球菌などの細菌(写真1)やマラセチアなどの真菌の増殖がないか調べます。
病変の状態に応じてテープやスライドガラス、綿棒などで膿やカサブタ、フケなどを採取(写真3)し、特殊な染色法(写真4)で染色したのち、顕微鏡で観察します。
ⅱ 細菌培養検査
細胞診で認められた細菌の種類を同定し、薬剤感受性試験によりどの薬剤が効果的であるかを調べる検査です。滅菌綿棒と培地がセットになったスワブ(写真5)を用います。
結果が出るのに少し時間のかかる検査ですが、効くか効かないかわからない薬を投薬してしまう可能性が減るというメリットがあります。
ⅲ ウッド灯検査
紫外線を発するウッド灯(写真6)というランプを用いて、皮膚糸状菌という真菌(カビ)を検出する検査です。
カビに感染した毛には青色に光ることがあります(写真7)。光っている毛を見つけたら、採取・顕微鏡で観察しカビの存在を確認します。
この検査はカビがいるかいないか、その場でざっくり確認する検査です。もっと詳しく菌の種類などを同定する場合、真菌培養検査(写真8)という少し時間のかかる検査を利用します。
② 寄生虫を調べる検査
ⅰ ノミ取り櫛検査
ノミなどの大型の寄生虫を検出するために目の細かいくしで全身をくまなくコームします。
寄生虫そのものや、寄生虫の糞を検出します。
ノミの糞は黒い粒で、水に濡らすと赤くにじんできます。これはノミの糞の主成分が吸血した血液だからです。
ⅱ 皮膚掻把(そうは)検査(スクレーピング検査)
ノミよりも小型な寄生虫を検出する検査です。
主に疥癬(ヒゼンダニ)(写真9)やニキビダニ(写真10)の検出に用います。
皮膚の表面を削って(写真11)、掻きとった検体をスライドガラスののせて観察します。皮膚に侵入した寄生虫を掘り出す必要があるため、検査の際すこし痛みが生じる場合があります。
③ 毛の異常を調べる検査
・抜毛検査
ピンセットや毛抜きを使って、毛を採取し、顕微鏡で観察する検査です。
主に脱毛症などで用います。
毛の構造と毛周期などを調べることができます。
④ アレルギーの原因を予測する検査
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが疑われる際に用いられます。血液を採取する検査で主に外注検査機関に依頼します。
この検査だけで確定診断はできませんが、どのような物質にアレルギー反応を起こす可能性があるのか推測するのに有用です。
⑤ 皮膚生検(皮膚病理検査)
免疫疾患や特殊な脱毛症、腫瘍など一般的な皮膚検査で診断が困難な疾患に対して適応されます。
皮膚の一部を切り取って、細かい細胞レベルまで確認する手法です。一般的に専門の外注検査機関に依頼します。
⑥ その他の検査
皮膚病の原因が、内科疾患である場合があります。
甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、性ホルモン失調などの内分泌障害が高年齢では多く見られます。
血液、尿、レントゲンやエコー検査などを実施して他の臓器に異常がないか調べることがあります。
■ まとめ
以上のように皮膚病を診断するために様々な検査がありますが、診断の第一歩はしっかり皮膚の状態を見ること、触ること、ご家族からの聞き取りになります。
ご家庭で皮膚の状況をこまめに写真撮影をしておくことや、ライフスタイル(飼育環境、散歩コースなど)、食事内容、自宅で行っているスキンケア(シャンプー、保湿剤、耳のケア、使用製材や頻度)、今までの経過(初発、季節性、治療歴など)、予防歴(ワクチンや寄生虫予防)などを調べておくと、スムーズに診察ができますのでぜひ意識してみていただけると嬉しいです😊