こんにちは。院長の石村拓也です👨⚕️
最近、子猫の皮膚糸状菌症(いわゆるカビ)での来院が増えているなと感じます🐱
皮膚糸状菌症は伝染性の感染症であり、人間にもうつる人獣共通感染症でもあります。
今回は実際にご来院された猫ちゃんの症例を元に、皮膚糸状菌症とはどんな病気なのか詳しくお話していきたいと思います🐈
■ 猫の皮膚糸状菌症
伝染性の感染症
皮膚糸状菌症という真菌(カビ)による感染症で、主に毛に感染します。
猫では子猫の発生がダントツに多いですが、他にも長毛種の猫(ペルシャなど)や免疫力の低下した猫でも症状が出やすいです
猫の糸状菌症では、Microsporum.canis (ミクロスポルム・キャニス)という真菌が約95%を占めています。
同居動物・飼い主にも感染することもあり、ヒトではリング状の赤い発疹ができるのが特徴です。
■ どうやって感染するの❓
感染している動物に接したり、感染した動物の抜け毛やフケや菌に汚染したもの(ベッド、毛布、ブラシ、バリカンなど)に接触することで感染します。
野良猫や多頭飼育、子犬や子猫が多く集まる場所、高齢の犬や猫などで注意が必要です。
また、皮膚糸状菌に感染した毛は生命力が強く、自宅の中で1年以上生き残ったという報告があります😿
治療が終わっても繰り返し感染することもあるので、治療と併行して適切な消毒が必要です。
■ どんな症状❓
脱毛や赤み、フケなど
顔の周りや耳、四肢などに脱毛・赤み・フケ・カサブタなどがみられます。
■ どんな検査をして診断するの❓
ウッド灯検査
ウッド灯とよばれる検査機器で、特殊な波長の光を当てると、カビが感染した毛が青緑色に光ります。それによりおおよその診断ができます(感染していても毛が光らない場合もあり、これだけで診断することはできません🙅♀️)
この光った毛、疑わしい部分の毛、フケを採取し、顕微鏡で観察し診断します。
毛検査・スタンプ検査
感染した毛を顕微鏡で確認します。
👇膨化した毛の周囲にカビの分節分生子が認められました。
培養検査・PCR検査
検査結果が分かるまでに少し時間がかかりますが、真菌培養検査やPCR検査で真菌を検出することもあります。
原因菌の特定が可能となります。
■ 治療
外用薬・シャンプー
抗真菌薬の入った軟膏やローション(外用薬)を患部に塗ったり、抗真菌薬の入ったシャンプーで体を洗う方法があります。
毛刈りを行う場合もありますが、感染被毛が周囲に飛散しないように注意が必要です⚠️
内服薬
外用薬の治療にあまり反応がない場合や、皮膚症状が広範囲に見られる場合には、抗真菌薬の内服薬を使用します💊
こちらは副作用が出る場合があるので、必要であれば検査した上で使います。
■ 感染防御対策
・ 感染動物の隔離
・ 掃除
・ 洗濯
・ 乾燥
皮膚糸状菌症は感染力がとても強いため、生活環境中の抜け毛は徹底的に除去しなければなりません。治療中は毎日掃除機をかけ、毛が付着した寝具やカーペットも廃棄するのがオススメです。(最も確実)
廃棄できないものに関しては、熱湯消毒や洗濯を実施します。
さらに、カビの感染を拡大しないために、治療が完了するまで他の動物やヒトとの接触をできるだけ避けて、移動も最低限にすることが重要です。
加えて、次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒するのも有効です。皮膚糸状菌症のカビは、アルコール消毒が無効のため要注意と覚えておきましょう。
■ まとめ
猫カビ(皮膚糸状菌症)は人畜共通感染症なため、動物だけではなく、環境から人、人から人に感染します。また、皮膚糸状菌の治療中は、飼育環境の清掃・消毒など飼い主さんの協力が不可欠になります。
もし、猫ちゃんの皮膚に脱毛やフケなど皮膚病変が出来た場合は、お早めに動物病院にご相談くださいね👨⚕️