こんにちは、院長です。
春が近づいてきて、フィラリアの血液検査などももうすぐスタートですね
血液検査の項目の一つである「甲状腺ホルモン」
この甲状腺ホルモンの分泌異常で病気が引き起こされることがあるんです
まずは、犬でよく見られる「甲状腺機能低下症」についてお話ししていきたいと思います🐶

■ 甲状腺機能低下症
甲状腺とは、内分泌器官のひとつで、いわゆるホルモンを分泌しています。
甲状腺は頸部にあり、気管を挟んで左右に1個ずつ存在しています。
甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を活発にする働きを持っており、甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンの欠乏により様々な症状があらわれます。症状がゆっくり進行することが多く、異常に気づきにくいことも多いです。

■ 甲状腺機能低下症の症状は?
●皮膚症状
脱毛、皮膚が脂っこくなる、フケが増える、皮膚の黒ずみ(色素沈着)、繰り返す皮膚病、皮膚が分厚くなる、上まぶたや唇がたるんでくることにより悲しげな顔になる(悲観的顔貌)など
●全身症状
肥満、活動性の低下、低体温、心拍数の低下など
●神経症状
ふらつく、顔面神経麻痺、前庭障害、末梢神経障害など
甲状腺機能低下症の60-80%で何らかの皮膚症状があると言われています🐩

■ 甲状腺機能低下症はどうやって診断するの?
甲状腺機能低下症は血液検査により甲状腺ホルモン濃度を見て診断します。
ただ、甲状腺ホルモンの数値は、甲状腺以外の病気(クッシング症候群、糖尿病、悪性腫瘍など)や薬の影響でも低下するケースがあるので診断には注意が必要です⚠
これをeuthyroid sick(ユーサイロイドシック)症候群といいます。
血液検査の結果甲状腺ホルモン濃度が低かった場合は、他に隠れている病気などがないか検査し、総合的に診断をしていきます。

■ 犬の甲状腺機能低下症の治療法は?
治療は不足している甲状腺ホルモンを補ってあげることです💊
甲状腺ホルモン製剤には錠剤や液剤の飲み薬があります。甲状腺機能低下症で壊れてしまった甲状腺はもとには戻らないので、基本的には生涯にわたる投薬治療が必要です。
適正な量のホルモン製剤を投与し続ければ、予後は良好です。

■ まとめ
甲状腺機能低下症は有用な予防法がありません。そのため、早期発見、早期治療が大切です。
元気がない、歩きたがらない、たくさん食べていないのに太る、脱毛がある、皮膚病が治りにくいなど、気になる症状があれば早めに診察を受けましょう。
定期的に健康診断として血液検査を受け、甲状腺ホルモンの数値を一緒に確認すると、早期発見につながるかもしれません。
