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犬がブルブル震える原因は寒さだけではない⁉️

こんにちは。副院長です👩‍⚕

 

ここ最近急に寒くなってきましたね~😵💦

犬も人間と同様、犬も寒さで震えることがあります。

しかし寒さ以外で震えの症状が出ることもあるので注意が必要⚠

犬が震える原因はいくつかありますが、健康でも起こりうる生理的な場合と、病気が関与している場合が考えられます🥶

今回は、犬の震えの原因として考えられる理由についてお話していきたいと思います。

■ 健康でも起こりうる“震え”

震えは「振戦(しんせん)」ともいい、リズミカルにみられる反復的な筋肉の収縮をさします。実は震えは、普段から目に見えない形で存在しています。この見えない震えが何らかの原因によって増強されると、飼い主から見てもわかる「震え」として認識されるのです。これを「生理的な震え」といいます。

生理的な震えは、主に寒さ・興奮・恐怖・不安・虚弱などによって生じることが多いです。

・寒さ

・ストレス・怖い・不安

・嬉しい・興奮

・老齢犬の足の筋力低下

■病的な“震え”

そもそも「震える」という場合、振戦(しんせん)も痙攣(けいれん)も同じようにとらえがちですが、実は違いがあります。

■ 振戦(しんせん):リズミカルにみられる反復的な筋収縮

■ 痙攣(けいれん):筋肉が急激に不随意に収縮し、硬直することもある。振戦よりもより複雑な筋収縮。

ただ実際のところ、振戦とけいれんの区別がつきにくい場合も多いです。判断に迷ったら、震えの様子を動画に撮っておき相談すると良いでしょう。

①代謝異常

腎機能異常、肝機能異常、電解質異常、低血糖、高アンモニア血症、低カルシウム血症、低リン血症など代謝性疾患によって震えが起こることがあります。

・急性腎不全や慢性腎不全(症状:食欲低下、嘔吐など)

腎臓は、血液を濾過し、余分な水分や老廃物などを尿として体外へ排出する機能を担っています。腎臓の機能が低下すると、排出されるはずの老廃物が犬の体内に蓄積されて血中の老廃物濃度が高まります。老廃物や毒素が体内に蓄積し、様々な障害を生じる状態を尿毒症といい、深刻な全身症状をもたらします。

 

・肝機能不全(症状:よだれ、震え、沈鬱など)

肝臓機能低下や門脈体循環シャントなどにより肝性脳症が生じ、震えが起きることもあります。

肝性脳症とは、本来肝臓で解毒されるはずのアンモニアなどの体内代謝物や毒性物質が、肝臓でうまく解毒されないために全身を循環してしまい、脳へ影響を与え、神経系等に障害をきたす症状を言います。

 

・低血糖(症状:元気がなく、ふらふら、ぐったりするなど)

低血糖症とは、血液中の糖分濃度が著しく下がってしまう状態です。震えの他、ふらつくき、ぐったりする、嘔吐などの症状が見られることが多いです。

原因としては、

・子犬の長時間の空腹

・糖尿病患者に対してインスリンの過剰投与

・キシリトール誤食による低血糖症状

・インスリノーマなどのインスリン産生腫瘍

・肝機能低下による糖の産生低下

・副腎皮質機能低下症などのホルモン疾患

などが考えられます。子犬の場合、まだ体が小さいので糖分を肝臓に貯める能力が発達していないことが原因で起こります。空腹時間が長くならないよう1日の食事回数を3〜4回にするなどの工夫を行いましょう。

低血糖症状になった場合は、足りない糖分を補充する治療を行います。動物病院では、血液中に直接糖分を注射します。自宅でできる応急処置として、砂糖水やガムシロップ、ブドウ糖などの糖分を舐めさせたり、歯茎に塗りつけたりなどの処置を行います。その後すぐに動物病院を受診しましょう。

②中毒

体にとって毒性のある物質や犬が食べてはいけないものを食べてしまうことで生じる有害作用を「中毒」といいます。

これらの中毒によって、先述した尿毒症や肝性脳症、低血糖などの状態になると、震えの症状が見られることがあります。

 誤食による震えの可能性がある場合、ただちに病院を受診する必要があります

〈犬に震えを起こす可能性のある物質〉

・チョコレート

・キシリトール

・カフェイン

・ニコチン

・マカデミアナッツ

・消炎鎮痛薬(人の痛み止めや解熱剤など)

・殺虫剤

など

③脳・神経疾患

てんかんや水頭症、脳炎など中枢神経系の疾患により震えなどの神経症状が見られる事があります。

・てんかん(症状:震え、けいれんなど)

てんかんとは、2回以上反復的に起こるけいれん発作をさし、MRIや脳脊髄液の検査などで原因となる異常が認められない場合を「特発性てんかん」と呼びます。特発性てんかんの原因はわかっていませんが、遺伝的な関与が強く疑われています。けいれん発作時以外は正常であることも一つの特徴です。

発作のタイプで最も多いのは全身がピーンと伸びて、足や口を細かくガタガタと震わせる強直性けいれんです。その他にも、脳の一部分が興奮することによって起こる焦点性発作(部分発作)というものもあります。焦点性発作では、全身ではなく体の一部分だけがけいれんを起こしたり、流涎、チックなどが見られる事があります。

 

・水頭症(症状:ふらつき、旋回運動、てんかん様発作など)

水頭症は、脳室と呼ばれるスペースに過剰な液体(脳脊髄液)が貯留し、脳に異常な圧がかかってしまう病気です。

生まれつきの場合(先天性)となんらかの病気が原因でおこる場合(後天性・二次性)とがあります。先天性の場合は、チワワなどの小型犬に多く見られます。

症状は程度によって様々です。ぼーっとしている、元気がない、寝ている時間が多くなるなどの症状が一般的で、進行すると震えやけいれん、歩行障害などが出てきます。

 

・脳炎(症状:運動失調、ふらつきなど)

脳炎にはさまざまな原因があり、犬ジステンパーウイルスによる感染性脳炎や、パグなどの犬種で見られることの多い壊死性脳炎(別名:パグ脳炎)、肉芽腫性髄膜脳炎などが挙げられます。

これらの脳炎によって震えや運動失調、ふらつきなどの症状が見られる事があります。

 

・小脳疾患

小脳は四肢の協調運動、姿勢保持、歩行調節、平行感覚の調節などの中枢を担っています。小脳の機能異常などにより、震えや運動失調、ふらつき、発作などが生じる事があります。

④痛みによるもの

痛みにより震えの症状が見られる事があります。

 

・椎間板ヘルニア(症状:動かない、触ると嫌がるなど)

犬でよく見られる病気のひとつに、椎間板ヘルニアがあります。

椎間板ヘルニアは、脊椎の椎骨の間にある椎間板というクッションが飛び出して脊髄という神経を圧迫し、神経に異常を生じる病気です。

 

症状はグレードによって様々ですが、痛みや違和感、震え、歩きたがらないなどの症状が見られます。神経麻痺の程度が進行するとふらついて歩けない、足を動かせない、排尿障害なども見られる事が多いです。

 

・膵炎

膵炎は、膵臓自ら作り出す膵液が何らかの原因で活性化することによって、膵臓自体が強い炎症を起こす病気です。

膵炎の症状は嘔吐や下痢、脱水、食欲不振、腹部痛などが挙げられます。症状は程度によって様々ですが、重症化するとショックや呼吸困難、凝固障害を引き起こし命に関わることもある怖い病気です。

膵炎による腹部痛により、震えや触られるのを嫌がったりするなどの症状が見られることがあります。

■ まとめ

「震え」の原因は様々です。どれが原因かを瞬時に見分けるのはなかなか難しいでしょう。いつも通りに過ごしてるにも関わらず、ふとした時に震え出したら注意してよく様子を見てあげてください。

愛犬の震えが生理的な要因からくる震えなのか、病気からくる震えなのか日頃から様子をよく観察し、異変を感じればすぐに病院を受診しましょう。

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