こんにちは。獣医師の石村です
“口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)”という病気をご存じですか?
口腔と鼻腔とを隔てる骨が溶けたり、破壊されたりすることにより、その両者がつながってしまう病気です。
今回はその“口腔鼻腔瘻”
になって、歯石除去・縫合処置したわんちゃんについてご紹介させていただきます🐶
【症例】
M.ダックスフンド 11歳 未避妊♀
乳腺腫瘍があり、今回乳腺腫瘍切除も同時に実施した。
【症状】
くしゃみ、鼻水、鼻出血
【処置】
原因となる歯が残っている場合には、その歯を抜歯します。今回は原因となった犬歯はすでに抜けていました。
口腔〜鼻腔のトンネルを生理食塩水で綺麗に洗浄した後、抗生物質を注入します。
歯肉粘膜の一部を剥がして、粘膜フラップを作り、穴を縫い合わせてふさぎます。
【経過】
経過は良好で、術後くしゃみ、鼻水も軽減されたようです。
口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)
■ どんな病気?
ワンちゃんの犬歯は根元が深く、鼻腔に隣接しているため、歯肉が退行すると、口と鼻が繋がってしまいます。
この状態を口腔鼻腔瘻と呼びます。この病気になると食べ物が鼻に回ってしまい、慢性鼻炎によるクシャミ・鼻水が続き、ひどい場合肺炎に至ることもあります。
主な原因は歯周病の悪化。治療には貫通した箇所を塞ぐ外科的処置が必要です。歯周病由来の場合、すべての犬にみられますが、特にミニチュア・ダックスフンドでよく起こる病気のひとつです。
■ ならないためには…
歯周病にならないためにも、常日頃からのデンタルケアが重要です。
犬は人よりも歯垢が歯石に変わるスピードが早く、なんと3~5日で歯石になると言われています。(人は20日)
歯石は動物病院で麻酔をかけるなどしてクリーニングをしなければ取除けません。歯垢の段階なら家庭で取り除くことが可能なので、歯垢が歯石になる前の1日1回のデンタルケアがとても大事といわれています。